冬だからこそ楽しめる、多肉植物とのふれあい
2025/12/20
カレンダーも最後の1枚になり、いよいよ冬本番の寒さがやって来ましたね。この時期、お客様から一番多くいただくのが「冬の間、水やりはどうすればいいの?」というご質問です。
気温が下がってくると、春から秋と同じペースで水をあげていいものか、それとも完全に止めるべきなのか、判断に迷うところだと思います。
この記事では、今の時期に専門店としてお伝えしている「水やりの考え方」と、水やりをお休みし始めてからどのように植物を見守っているのかについてお話ししたいと思います。
■12月後半からの水やりは、多肉植物を守るための「愛」
12月も後半になると、多くの多肉植物が休眠期に入ります。この時期に水やりをひかえる、あるいは止めるのは、2月にやって来る一番の寒さを無事に越すための大切な準備です。
植物は体内の水分を減らすことで、細胞液の濃度をギュッと濃くします。これがいわゆる「不凍液」のような役割を果たし、氷点下になっても凍りにくい体を作ってくれるのです。
ただし、すべての多肉植物を一律に断水すればよいわけではありません。アエオニウムなどの「冬型」と呼ばれる種類は、この寒さの中でもゆっくりと成長しています。こうした子たちには、様子を見ながら月に1〜2回、天気のよい日の午前中に軽くお水をあげるのが適切です。どの子にはあげて、どの子には止めるのか、その見極めこそが、冬の園芸の楽しさであり、多肉植物への最大の愛情だと思います。
■「シワ」と「枯れ」の境界線を知る
水やりをひかえると、葉にシワがよったり、下葉が枯れ落ちたりすることがあります。実はその多くが休眠期に向けた自然な変化です。
チェックポイントは、株の中心部(成長点)の状態です。外側の葉が多少シワシワになっていても、中心部がしっかりとしていて色艶がよければ、その株は冬を越すための「省エネモード」にうまく切り替わっている証拠です。
また、種類によっては冬になると地上部がすべて枯れ、根だけで冬を越すものもあります。たとえばミセバヤなどの宿根するタイプは、一見すると枯れてしまったように見えますが、土の中では春の成長に向けた準備を整えています。下葉が枯れるのも、姿を変えるのも、植物なりの知恵。自然のサイクルの一つだとわかれば、その姿も大切な過程だと感じていただけると思います。
■水をあげない代わりにできる「乾いたお手入れ」
水やりをお休みしている間は、植物にふれる機会が減って少し寂しく感じるかもしれません。でも、お水がいらない時期だからこそ、1鉢ずつ丁寧に向き合える時間でもあります。
例えば、やわらかい筆などを使ったり、ブロアーで飛ばしたりしてホコリをはらうこと。葉に積もったホコリを落としてあげるのは、冬の弱い光でもしっかり光合成ができるよう手助けすることにもつながります。
また、お水がない時期は、普段は見落としがちな変化も見つけやすいタイミングです。枯れた下葉を丁寧にとりながら、株元などに隠れている子がいないか、そっとチェックしてあげてください。直接お水をあげるお世話とはまたちがう、こうした静かなふれあいの時間は、植物との距離をぐっと縮めてくれます。手を動かして見守る時間を、ぜひゆったりと楽しんでみてください。
■冬の「静かな表情」をじっくり愛でる時間
成長期のようにぐんぐん大きくなる姿もうれしいものですが、冬の多肉植物には、この時期にしか見られない表情があります。
寒さで色が深まった紅葉や、きゅっと葉を閉じた姿。それは、春に向けて準備を整えている、今の時期ならではの姿です。水をあげて育てる時とはまたちがう、そんな変化をのんびりながめる時間も、冬の園芸の大きな楽しみだと思います。
忙しい年末ですが、ふとした瞬間に多肉植物をながめてみてください。静かに過ごしている姿に、きっと心がふっと和むことでしょう。そんな穏やかな時間を、大切に過ごしていきたいものですね。
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